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ざわざわ……。
「ねぇ、北斗ぉ」
誰かが呼んでいる。
「ねぇってば」
女の声だ。
「起きて、相手してよぉ」
「まだ、眠ぃよ……」
「何でぇ!つまんない……」
「つまんないって……。
昨日の晩、
散々やったじゃん」
「でもォ……」
「……しゃーねぇな」
そう言って、
女の手を引っ張った。
「ホラッ、横来いよ」
「……やっぱ、北斗好き!」
「俺もだよ……」
そう言いながら、
女を自分の方に寄せ
そのまま寝てしまった。
「えっ、北斗寝ちゃうの?」
「……」
「寝てるし!」
そして、朝目が覚めた。
隣を見ると、
女はいなかった。
その代わりに、
紙が置いてあった。
「何、あれ?」
どうやら、手紙らしい。
『北斗へ。
おはよ!寝ちゃってるから、
起こさないとくね(*´▽)ノシ
今度は寝ないでね!
それじゃ(●´ω)ノシ
愛美より。』
「……寝たんだ。あの後」
起き上がってから、
布団から出る。
今日は体がやけに
ダルい気がした。
「重っ……」
上は何も着ていないので、
ソファから着替えを取る。
バサッ、パチッ……。
「さっさと、出よ」
やった後の部屋が
好きじゃなか好きだからなんて
綺麗なもんではなかった。
ただ、一時の寂しさを
隠したかったからだ。
1人になると、
心の中に寂しさができる。
それを隠すために
夜は誰かと過ごす。
朝になれば、
寂しさはなくなっている。
別にそのことに
不便は感じないから、
その生活は中学から
ずっと続いていた。
中学の頃から、
夜は誰かといる。
その誰かは、
友達や家族ではなく
絶対に女だった。
理由はひとつだ。
昔、闇しかなかった
俺にひとつの光を
差し込んでくれたのが
女だったからだ。
中学の頃、
家を出た俺は
夜の街に1人いた。
そんな時に
声を掛けてきたのが
女だった。
女は言った。
『行くとこないなら、
ウチ来ない?
顔も悪くないし、
こっちは大歓迎だけど?』
その言葉が
あの頃の俺には
救いだった。
必要とされている。
だったら、悩むことはない。
そう思った俺は
その日は女の家に
泊まることにした。
それから、
その女を通じて
色々な女と寝た。
寝ることで
行く当てができる。
だったら、
いくらでも寝る。
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