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それが俺の出した
答えだった。
周りの奴は
間違ってるって
思うだろうけど、
俺にはそれしか出来ない。
必要とされるなら、
使い物になるなら
こんな体いくらでも売る。
女と寝る時は
頼まなくても、
金を渡す奴がいる。
体に価値があるなら、
疲れてまで
働こうなんて考えない。
着替えが済み
煙草を一本ふかして
窓の外を見る。
太陽が雲から
うっすら出て
光が目に当たる。
「今日も暑いな……」
夏が嫌いだった。
理由は単に暑いから。
生まれつきなのか
肌は焼けない方だった。
髪が長髪で艶もあり
女に劣らない程
綺麗だから
肌は黒いよりは
白い方が助かる。
ぼーっと、
外を見ながら
考え事をして
無言で携帯を取り出した。
「もしもし、北斗だけど。
今日さぁ、家行っていい?
イケる?……なら、頼んだ」
そう言って、
電話を切った。
毎日の繰り返し。
やってすぐに
別の女に電話をする。
寝る家を探さないと
俺には帰る場所がない。
家はあるけど、
1人は嫌だから。
今日の家は、
3回寝た女だ。
やってる女は
回数が多いほど
俺に好かれてると思う。
そして、
もっと好かれようと
努力する。
実際には、
特別な意味なんてないけど。
考え事をしている間に
煙草はほぼ
灰状態になっていた。
いつもと一緒だ。
そう思いながら、
女としたホテルを後にした。
ホテルの金も
女が払っている。
頼まなくても、
相手は勝手に払う。
俺に嫌わないように
ただ、必死で。
ホテルから出ると、
街は人で溢れていた。
「……」
黙って人込みを見ていると
ポケットの中の
携帯が鳴った。
「もしもし?」
「もしもし、北斗?
突然だけど、
晩帰るの遅くなるかも」
「いいよ、別に」
「ホントに?
ゴメンね。
後、鍵いつもの場所だから」
「分かった。そんじゃ」
そう言って、
電話を切る。
いつだって、こうだ。
自分が帰れなくても、
俺自身には帰る場所がある。
それも、
女が嫌われないために
始めたことだった。
まぁ、便利だけど。
そんなことを考えながら、
女の家に向かう。
いつもはバイクだけど、
昨日は女と飲んだ後
タクシーに乗ったから
歩いて向かうことにした。
体が重くてダルいけど、
歩いて向かった。
30分ほどで、
女の家に着いた。
ポストを開けて
鍵を出す。
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