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部屋に続く扉を開け
まるで、
自分の家かのように
当たり前に中に入る。
「……あん時のままか」
入った部屋の空気は
前に来た時と
変わりなく静かな空気を
漂わせていた。
自分の来た部屋は
静かな方がいい。
明るい空気は
嫌いだからだ。
幼い頃の俺が
あぁじゃなかったら
今の俺はもっと
マシな人間だったかも
しれないけど。
昔の自分を思い出すのに
時間は掛らなかった。
あの頃の俺くらい
簡単に思い出せる。
今の俺と住む環境も
自分の中の状況も
全く違うあの頃。
でも、ひとつ。
ひとつだけ
似てる気がした。
昔の俺も今の俺も
本当の自分が
どれなのか
きっと知らない。
本当の自分を
見つけられない所は
嫌でも似ている。
見た目が変わっても
中身までは変わらない。
……現実はそうだからな。
変えようとしない俺が
変わることなんて
出来っこないんだ。
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