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太陽が船を照らし、一番温かくなったころ、袁晋卿は若藻を探していた。どうしても訊きたいことがあった。
「おい」
普照が、きょろきょろと頭を回している袁晋卿を見て口を開いた。
「何か捜してんのか」
「ん、な、何のことだよ」
普照に初めて話しかけられ、袁晋卿は驚いた。
「誰も捜してないよ」
「……人を、捜してるのか」
「は?」
「おれは、何か、と訊いたんだ。なのにおまえは、誰も、と答えた。人を探しているということだろう」
「そんなこと、普照には、関係ないだろ」
袁晋卿は、くるりと背を向けて、歩き出そうとした。
「待て」
普照が、再び声をかけた。
「おまえ、獣の臭いがするぞ」
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