遣唐使船 1―2

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 太陽が船を照らし、一番温かくなったころ、袁晋卿は若藻を探していた。どうしても訊きたいことがあった。 「おい」 普照が、きょろきょろと頭を回している袁晋卿を見て口を開いた。 「何か捜してんのか」 「ん、な、何のことだよ」 普照に初めて話しかけられ、袁晋卿は驚いた。 「誰も捜してないよ」 「……人を、捜してるのか」 「は?」 「おれは、何か、と訊いたんだ。なのにおまえは、誰も、と答えた。人を探しているということだろう」 「そんなこと、普照には、関係ないだろ」 袁晋卿は、くるりと背を向けて、歩き出そうとした。 「待て」 普照が、再び声をかけた。 「おまえ、獣の臭いがするぞ」
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