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頭髪のない頭。
痩せこけた頬。そして、僧だと一目でわかる服装。
青年ともいえる男だった。
袁晋卿は、恐れていることを忘れて、男を凝視した。
「もしかして」
男は上り終えると、力尽きたように転がり落ちた。
「普照ぉ」
袁晋卿は駆け寄ると、慎重に体を起こして、顔を覗いた。
ぐったりと目を閉じていて、顔色も悪かったが、そこにいたのは間違いなく普照だった。
もう一度、名を呼ぶと、まるで反応するように薄く目を開けた。が、それも一瞬だけで、すぐに意識を失った。
「あ、ああぁっ。若藻、どうしよう」
普照は死んでしまうのではないか、そう思って袁晋卿は慌てた。
若藻は、静かに普照の前に歩み寄って、体のあちこちを触りだした。
袁晋卿は、心配そうに見つめているだけだった。
「安心しろ。気を失っているだけだ。だが、早くどこかで休ませた方がいいだろう」
袁晋卿が、うんうんと何度も頷いて、普照を背負った。
「なるほど。梯子が取り付けられていたか。それを使って上ったわけだな」
普照が這い上がってきた所を覗いて、冷静に若藻が呟いた。
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