島 1―5

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大小とそろっている、ぼろぼろの木偶が数体、壁を隠すほどに置かれている棚、その中には、生き物を液体に浸した瓶や、液体だけの瓶があった。 「物置部屋かな」  袁晋卿は、瓶に入った、見たこともない生物を眺めながら、室内を歩いた。 そして他の棚に目を向ける。 「うわぁ、貴重な紙で、こんなに書物を作っている」  いったいどのようなことが書かれているのだろう、と気になり、適当に数冊取って開いた。  古いもので字は見にくく、解読に、かなりの時間を費やした。 「なるほど。どうやら、この屋敷の主は気孔や魂について調べていたみたいだね」  元の位置に戻すと、棚の横にある、文机に気づいた。上には山積みされた紙と筆、そして、文字が書かれてある細い木の板と、刀子。 「木の板に書いた文字を削るための小刀か」 袁晋卿は、刀子に目が止まって、鞘を抜いた。  錆はなく、刃は今も尚、生きている。 「何が起こるかわからないからな。持っておこう」  そう呟いて、懐にしまうと、後ろから氷を付けられたような寒気を感じた。 指先から腕や背中にかけて、何か細かい虫が這っているようだ。 そして視線。  袁晋卿は動けないまま、じっと立っていた。  緊張した空気の中、沈黙が続く。逃げようにも逃げられない。膝が勝手に震えた。  ゆっくりと、時間が、溶けた蝋のように、流れた。 「なぜ、……に入った」 ぼそぼそとした男の声。  びくりと、肩が震えた。やはり誰かいたのだ。 「だ、れ」 袁晋卿は振り向かず、そのまま訊ねた。
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