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少年は夢見ていた。
いつかこの空を飛んで、海を越えて行けるのだと。
幼い頃から描いてきた将来像があった。
広大なサバンナ。
燃えるような夕日。
繰り広げられる死闘。
育まれる命。
レンズ越しに覗く未知の世界は、どんなに美しいだろう?
彼は動物カメラマンになりたかった。
3歳の誕生日には、玩具のカメラを買ってもらった。
小学校に上がる春には、祖母が亡き祖父の古いカメラをくれた。
昨年の春、ようやく貯まった金で念願の一眼レフを購入した。
中学では絶対に写真部に入ろう。
その矢先だった。
自分の歯車がおかしくなったのは。
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