第三章

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私は間抜けな声を出した。 「こうしようか。お前が姉さんに告白して、もし上手くいったら、俺はお前から手を引く。もし断られたら……ずっと俺のもの。まあ、姉さんには恋人いるし、殆どお前は俺のものだ」 私をぎゅうと抱き寄せて、耳元で囁く。 「好きじゃない女に、恋愛を持ちかけるほど俺は軽くない」 「はひ?」 「お前は鈍感すぎんだよ、バカ。今まで俺が何度アタックしたことか……」 ぐちぐちと文句を言われる。 「この間だって、俺に向けるのは愛情だ、なんて人前で言って見せたのに……」 どうして良いかわからず、私は思わず昔からの癖で恵二の頭を撫でた。 私を抱きしめる恵二の腕に力が入る。
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