第五章

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「ほら、真咲。ぼーっとしてないで食えよ」 私の皿の上に、ベーコンエッグが鎮座している。半熟の黄身が揺れる。カリカリに焼けたベーコンが食欲をそそる。そっとフォークを取り、小声でいただきますと呟いた。 「真咲ちゃん、半熟の黄身はどうやって食べる?」 先輩がそんなことを言った。 「あたし、たまごごはんが昔から大好きだったのよ。だから、小さい頃から黄身だけご飯にのせて、すこししょうゆを落として食べていたのよ。今でもその癖が抜けなくて」 美味しいのよ、と先輩が実演してくれた。 「わ、私もそうやって食べます!」 「ほら、敬語になってるわ。お姉さん、敬語使われると悲しいなぁ」 すこししょんぼりとした声を作り、先輩はそう言っておどける。
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