第一章

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――牧原美雪。 3年13組30番。 美術部所属。 身長、目測で162cm。 華奢な体つき。 スリーサイズは目測で――     「なに書いてんだか…ハァ。真咲のヘンタイ」   私はぎゃおうと品の欠片もない叫び声を上げ、メモに覆い被さった。   「へ、ヘンタイはアンタでしょ! 乙女のメモを覗くんじゃないわよ!!」   素早くペンをナイフのように構え、牧原恵二を睨み付けた。あの美しく気高い先輩の弟で、家庭科部所属。ムカつくくらい整った顔立ちで、料理の腕は家庭科部一だと言う。女子に人気があるようだが、私にはこいつの良さが分からない。   「はい、危ないからペンをおろしましょーねぇー」   大きな手のひらで私の手からペンをもぎ取って、恵二はニッと笑った。   「俺に向けるのはペンじゃなくて愛情でしょ?」   「なっ…!」
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