第一章

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「あの頃は可愛かったのになぁ、けいちゃん……」   「可愛くなくて悪かったなー」   地獄耳の恵二が遠くから声を飛ばす。べーっと舌を突き出してそれに返事をした。     率直に言おう。私は牧原先輩が好きだ。牧原恵二ではなく、牧原深雪先輩が好きだ。 恋愛感情として好きだ。牧原先輩目当てでこの高校に入学してきたくらい好きだ。 それを恵二は知っていて、さっきのようにからかう。 どうしようもない奴だ。乙女の恋心で遊びやがって。  
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