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「……疲れましたわね」
「うん」
「喧嘩はやめましょう。美しくないですわ」
「どっちから始めたんだか……うわっ!」
「きゃあ!何ですのあの機械!」
「あれはトラックっていうんだよ。前にも教えた気がするけど」
「信じられねぇですわ!このあたくしに泥水ぶっかけやがりましたわよ!」
「口調変わってるよ」
「あっ……あらやだ、おほほ」
「君の性格は解りやすくて助かるよ」
「また一雨来そうですわね」
「うん。最近よく降るね」
「ええ」
「……お家に帰りたいね」
「全くですわ」
「……あのさ、最近思うんだけど」
「何ですの?」
「僕達、ひょっとして、捨てられたんじゃないかな」
「そっ……そんなはずありませんわ。貴方ならまだしも、サキ嬢があたくしをお捨てになる理由がありませんもの」
「僕達がここに置いていかれる前の日、サキちゃんのお父さんが、リボン巻かれたテディベアと、箱に入った人形買ってきたの君も知ってるよね」
「あ、あんな人形が何ですの!あんな地味なストレートヘアよりあたくしの髪のほうが優雅ですし、瞳だってあんな緑色よりあたくしの青のほうが綺麗ですし、お洋服だってサキ嬢のお母様のお手製ですのよ!あんな何処で作られたか解らないお洋服より、ずっと」
「……君、認めたくない事を自覚すると、口数多くなるよね」
「……」
「……」
「し、信じる者は救われますわ!」
「うん」
「ですからここで待っていれば、必ずお迎えが来て、お家に帰れますわよ!」
「……そうだね。絶望するのは良くないよね」
「たまには良い事言いますわね、熊」
「早く迎えに来てくれないかなぁ……」
「同感ですわ」
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