空の彼方

[？][？]知らない世界[？][？]

それからしばらくして、冬がやってきた…

あたしは、学校には全く行かず、アイツとの生活の為に歳をごまかして、バイトをしていた。
バイト先は、近くの定食屋。
店のおばちゃんは、すごく優しくて、いつもあたしのことを心配してくれた。
『あんた、ちゃんと食べてんのかい？そんな細い体して』
って、毎回余ったおかずを二人分バイト終わりに持たせてくれるんだ。
おばちゃんは、いつも、
『栞ちゃん、うちの死んだ娘に似てるんだよ』
って口癖のように言ってた。
娘が帰ってきたみたいで嬉しいって…

おばちゃん見てると、たまに母親がどうしてるかと気になるけど、あの人は、あたしのコトには無関心だから、もう何ヶ月も家に帰ってなくたって、気にしないと思う。

バイトの帰り道、二人分のオカズを持ってアイツの家に向かってると、近くの路地で一人の人が三人くらいに殴られていた。
なんだ、ケンカか…
そう思って、素通りしようと思った時、殴られてるヤツの顔が見えた。

…タケシ？

タケシは、アイツの後輩で族の下っ端。
よく見ると、殴ってる奴らは、敵対しているチームの奴らだった。

怖くなった………
集会には、ちょくちょく出てたけど、チーム同士のケンカとか、事故って死んでくヤツとか、見たことなかったから…

暴走族って、そんなものなんだ？
かなり危ないんじゃん？