不思議な月夜

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   黄昏のパステルに彩られた淡い浮雲。  夕陽が、屋根の上で気持ち良さげに眠っている光沢のある灰色の育ちのよさそうな猫を抱き締めている。  夕陽は名残惜しそうに猫を離し、夜の海へ引き渡す。猫は、ゆっくり瞼を開ける。猫の目は、月の光が入り込み、金色に輝いていた。猫の小さな口が妖しげに動く。 「・・・今日、満月?じゃあ、歌えるんだ。」    猫は、人の言葉を発した。
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