†「転校生」†

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†「転校生」†

中2の冬休みが終わる頃、私は《突然》引っ越す事になった。 生まれてからずっと住み慣れた家を離れる事になったのは……ママが再婚したからだ。 私とママはずっと二人で、ママに彼氏がいてもまさか再婚するなんて思ってもみなかったし、よりによって…。 (今更、転校!?ありえないから…。) なんて今まで《聞き分けのいい子》でいた私の心の声はママに届くわけなかった。 慌ただしく引っ越しで明け暮れた冬休みも終わり、いよいよ迎えた3学期。 こんな時期に転校してきた私はかなり浮いた存在だったと思う。 「三枝真紀です。よろしくお願いします。」 担任の先生に紹介された私は挨拶をして軽くおじきをした。 顔を上げると一番前の席の女の子と目が合って微笑みかけられる。 ドキッ☆ 転校する事に特別、緊張感はなかったはずなのに。 脈がトクントクンと強く波打つのを感じながら、窓側の一番後ろの席に座るように担任に促され私は席に向かう。 私の机は誰とも隣合わないよそ者扱いで窮屈な教室に無理矢理押し込まれたように見えた。 なんだか笑えた。
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