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HRの後、教室の中がざわめき始め遠巻きに周りが私の様子を伺い始めているのを肌で感じながら。
私はかばんの中から教科書なんかを出す事に集中するフリをしていた。
下を向いている私の視界に誰かの靴のつま先が見えてなにげに顔を上げると…。
さっきの一番前の席の女の子が立っていた。
「私、クラス委員長の小泉絵里子。よろしくね。」
「よろしく。」
そう言うだけで精一杯だった。
だってこの初めて会う小泉さんという女の子の何とも言えない笑顔はさっきから私の胸をくすぐってくる。
確かにすごく可愛い女の子だけれど、女の子に恋愛感情なんて抱いた事はないのに。
席に戻る小泉さんの背中を見送り不思議な感覚に包まれながら、私は1時間目の数学が始まると授業に集中した。
2時間目は音楽で小泉さんが案内してくれた。
たぶん担任に頼まれて仕方なくなんだろうけど、小泉さんは相変わらずにこやかだった。
「小泉さん。」
「えっ?」
廊下を歩きながらいきなり話しかけた私にきょとんとした顔で見つめられ動揺しながら。
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