カケラ

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僕の声に気づいて、お兄さんが僕の方を向いてくれた。 けど、お兄さんは、顔を苦しそうにしかめる。 「こいつ、やっぱり家じゃかえないのか?」 僕を見ていたお兄さんは、僕を少し見るだけで、直ぐにお姉さんの方に向き直してしまった。 僕のこんな小さな声じゃ元気出ないのかな…? 「ミャーミャー…。」 よし。もっと頑張ろう。 僕が、そう思っていると、急にお姉さんが大きな声を出した。 「無理に決まってるでしょ!! だいたい、あんたがこの猫を拾ってきたせいで、マンション追い出されて、経済的にも安定しなくなったこと憶えてないの!? だからあんたは、信用出来ないのよ。」 そうお兄さんは、お姉さんに言われると下を向いてしまった。 ねぇ…。お姉さん。 お兄さんを虐めないで…? 僕は、もっと鳴いた。 「ミャーミャー…。」
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