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第五章…胸騒ぎ
健太は朝から支度した荷物をまとめていた。
『ミーちゃんは、ここから顔を出してね。』
小さな布のバッグの中に入るように促した。
ミーを入れると健太のケータイが鳴った。
『はい、もしも~し!』
友人達が近くまで来た事を告げた…
『さっ…行こうか?ミーちゃん。』
『う…うん……』
知らない土地に行く期待と不安……それにミーには胸騒ぎを感じていた…
『お待たせ!』
健太は車に乗り込みミーをバッグから出すと膝の上に置いた。
『この子がミーちゃん?可愛い~!』
女子達はキャーキャー言って喜んだ。
ミーは……ただおとなしく外の景色を眺めた…
『この辺で休憩しようか?』
木々の茂る一角に車を停めると、皆は車から降りた。
ミーは健太の腕の中でその空気を吸い込んだ…
『いい所だろ?ミーちゃん。』
健太は優しく囁いた。
『うん……あたしが人間になったら…また連れて来てね健太。』
ミーは健太の顔を覗き込んだ。
『そっか…気に入ってくれたか!』
眩しい笑顔を見せる健太に、ミーは照れた。
『あっ…そうそう!』
健太はポケットをあさると、グミを出した。
『はいミーちゃん…これはグレープ味だよ…』
ミーはグミを見て、この前おばあさんの家で食べたのと色が違うと思った…
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