第二章…新しい暮らし

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第二章…新しい暮らし

健太は車の後の席に乗ると、ミーをタオルにくるみながら抱いた。 『すぐ着くからね…着いたらミルク飲もうね…』 ミーはまだ震えていた… それは人間に母親を殺された恐怖がトラウマとなっていたからだ。 このケンタは…本当にいい人なの? またアタシを何処かに売ってしまわないの? ミーは昨日までの事を想いだしながら目を瞑った… ミーは埼玉県のある森の中で母親と暮らしていた。 昼間は近所の猫達と遊び…夜は木の上の家で母親に抱かれながら寝た… 『ミーちゃん!そんな悪い子は人間に成れませんよ!』 母親はよく、この言葉を口にした。 『お母さん…良い事してれば…人間になれるの?』 『そうだよ…ミーちゃん、お母さんは人間に成れなかったけど…20才までに、良い事を沢山するの…例えば、困ってる友達を助けたり…落し物は本人に届けたり、そうしたら神様が人間にしてくれるの!』 『何でお母さんは人間にならなかったの…そんなに優しいのに…』 母親は少し考えて言った… 『お母さんは…ミーちゃんに会いたいから猫のままにしてって神様にお願いしたのよ…』 ミーの顔が笑顔で綻んだ…
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