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まあなんやかんやで名前は決まらず、別にいいか、とばかりに牛乳を飲んだ猫と戯れていた。
外は豪雨。さっき急に降り出した。夕立だ。
「にゃあ~」
甘えた声で、猫。窓から外を眺めていた。そこで気づく。
「身体、拭いてあげなきゃな」
足はそんなに汚れてなかったけど、顔とか背中とか腹回りとかが少し汚れている。せっかくの白い毛並みが泥で汚い。僕はお湯で湿らせたタオルを持って猫の背後に静かに移動した。
「……に゛ゃっ!」
タオルを当てると、猫はびっくりしたように声をあげた。ちなみに身体もびくんと震えた。こっちもびっくり。でもそんなの関係ねぇ。
「今綺麗にしてやるからな」
優しく、全体を拭いてやる。みるみるうちに泥は落ちていく。フッ、流石は僕。
すべて拭き終わったあと、猫が気持ち良さそうに目を閉じているのが分かった。疲れたんだろう。起こすのも可哀相だ。
起こさないように運ぶのは至難の業だったが、猫の為なら苦にはならなかった。とりあえずベッドに。
さて、今度は自分の飯作りでもしやすかね。もう一度冷蔵庫をチェック。
「え~っと……」
うん。なんにもないね。さっき覗いた時もそんな感じだったな。
今日買っとくんだった。て言うか、買う気だった。それが帰りに猫なんか見つけちゃうから買えなかった、いや、忘れた。
仕方ないから炊飯ジャーに僅かに残っている米を食べた。腹壊した。夏だし、腐ってやがったんだ。
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