捨て猫

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まあそんな感じで、終業式も終了して昼から暇だぜベイベって思ってた僕の考えは甘かったって事が分かった。まさか8時間もトイレに篭るとはね……。 やっとトイレから出た時には、外はもう真っ暗。勘弁して欲しいよ、腐ってるとかさ。食わないほうがいいって思ったんだよー、保温してなかったし。 後悔しても仕方ない。僕はベッドに向かった。家の鍵はさっき閉めたばかりだし、セキュリティ的には問題ない(と良い)。 さて、寝よう。 こうして冒頭に戻るんだけどさ。 「気持ち良いにゃ……?」 「う、うん……。うあっ……!」 「次はもっと奥までいくにゃ……」 「うああっ……!あ、あああっ……!」 「奥まで入っちゃったにゃ……」 「そんなに、突っ込まなくても……くあっ!」 「……はい、お終い。でも、こまめにしといたほうがいいにゃ、耳掃除。こんな大きなのが取れたにゃ?」 はい、今やらしい事考えた人、挙手。考えてない?嘘つけ、僕! いやね、気持ち良くしてあげるとか言われたらさ、普通勘違いしちゃうじゃん?そういう事してくれるんじゃないかって、思っちゃうじゃん?男の性って、恐ろしいよ。なのにいきなり耳掃除。まあ、確かに気持ち良かったけどね。 「それはまあいいとして、君は誰だ?」 今更ですが、質問をぶつけてみたいと思います。 「龍斗が昨日拾ってくれたじゃにゃいか~!もう忘れたかにゃ?」 隊長!なんか自分は昨日の猫だ、みたいな主張をしているであります!僕はどうするべきでありますか!? 「にゃあは龍斗に恩返ししたいにゃ」 隊長!上目使いに見つめられてものすんごく可愛いであります!その子は僕の目には美人に映るであります!さらに、全裸なのに隠そうともしないところにそそられるであります! 「にゃあは一度受けた恩は忘れないにゃ。それに……龍斗はにゃあのタイプにゃ……」 隊長!これは遠回しな告白と受け取ってよろしいでありますか!?よろしいでありますね!? 「龍斗?」 「ああ、ごめん。今、僕の脳内で隊長と隊士が言い争ってて」 「?」 小首を傾げる猫(と主張する女の子)。さらりとした白い髪が、少し揺れた。 「と言うかだね……ちょっとそこで待ってて」 いい加減、目のやり場に困る。全裸だもん。なにか着せないとな。
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