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手近なとこにあるのはジャージぐらい。とりあえずそれを着せた。
うん。セミロングの白い髪によく映えるぜ。
「人間はどうして服なんか着るにゃ?面倒くさいにゃあ」
「はいそこ!君は人間ではありませんか?」
「にゃ?」
猫(と名乗る少女)はまたも小首を傾げた。その仕種自体は可愛い。だからか、頬も緩む。
「にゃあは猫又にゃ。だから人語も解せるし、人にもなれるにゃ」
しかしそれはすぐに締まる。
なんて?この子なんて言った?
猫又?
「ちょっと待てよ。いや、本当に。猫又って言うと、昔話とかに出てくるアレだよな?」
狼狽しながら猫(と名乗る少女)を見た。マジだよ、この表情は。
「そうにゃ。40年生きると猫又になるって言われてる、アレにゃ。にゃあはその猫又なんにゃ。驚いたかにゃ?」
この子はなにを言ってるんだ。マジなのか、マジなのかよ?
……マジだ。表情からして。
しかし、信じられる?だって猫又だよ。尻尾が二又なんだよ。……確かめるか。
僕は猫(と名乗る以下略)のお尻を見た。ジャージで隠されているが、こんもりしてる。
「ちょっと失礼するよ」
「にゃ?にゃあんっ!」
ジャージの中から尻尾を取り出すと、猫(もうやめ)は艶やかな声をあげた。でもそんなの関係ねぇ。
取り出したりますは、二又に分かれた尻尾でござーい。
マジで猫又だった。
「りゅ、龍斗ぉ……。そ、そんな弄っちゃ……ふぁっ、あんっ……!」
「ああ、ごめん」
流石にこれ以上は犯罪的な臭いがプンプンだからやめた。さっきの行動も犯罪みたいなもんだけど。
「はあ、はあ……にゃあが猫又って、信じてもらえたかにゃ?」
「うん。とりあえず信じよう。君は猫又。だから名前はネコマタで良いよね?」
「にゃあー……?」
明らかに猫……ネコマタは不満そうな声を出した。なんだなんだ、なにが不満だね。
「センスにゃいけど……まあそれで良いニャ。じゃ、これからしばらく厄介ににゃるから、一つよろしくにゃ」
「えー」
今度は僕は不満たっぷりに言った。だって、僕が飼おうと思ったのは猫だ。でも、猫又とか言って、猫じゃねえし。
「にゃあは龍斗の傍に居たいんにゃあ……」
「分かった。しばらくここに居るといい」
「やったにゃー!ありがとにゃー!」
あんな可愛くお願いされて、君は断れるのかい?いや、断れない。断言する。
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