第四章 ~絶望の時刻~

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間違いない。 僕は事故にあってから27年間も意識不明になっていたのである。 ふと、妻の顔が思い浮かんだ。 妻の事を医者に聞くと僕は愕然とした。 妻は、僕が意識不明になった翌日、この部屋の窓から気が狂ったように飛び降りたそうだ。 僕は今やっとわかった。 さきほどの暗闇は真の絶望ではない。 あれは絶望の前触れだったということを。 今のこの瞬間こそが、真の絶望だということを……。
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