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帰り道にも必ず一人になるところはあって、そんな時は少なからず心細いものだと感じています。
普段は前にも後ろにも誰もいないのに、今日はわたしの前を歩いてくれる人がいたんだ。
わたしと同じブレザーで、髪はくせが全然無くて腰の辺りまでストンと落ちていた。
きれいな髪をした女の子がかどを曲がると、一瞬だけ顔が見えた。あの顔には見覚えがあって、教室でわたしによく分からない言葉を残して、どこかへ行ってしまった女の子。
「璃音ちゃん!」
わたしも同じようにかどを曲がる。と、璃音ちゃんはそこに止まっていた。
「なに?」
「あの、さっきの言葉。どういう意味なの?」
「さっきの、言葉?」
璃音ちゃんはそのままの体制で聞き返す。
「教室で、誰も信じないって……」
「言葉通りの意味」
「だったら……! どうして、誰も信じないの?」
たぶん、ほんのちょっとの間だったんだろう。けどわたしにはそれが、限りなく長く感じられた。そして、璃音ちゃんが振り返り、その瞳でわたしを強く見つめる。
「あなたは、友達を信頼してる?」
「え、あ、うん」
「信頼すれば幸せになれると思ってるんじゃない?」
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