プロローグ

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 春風が色々な気持ちを乗せてやってくる季節がきました。  今日は新入生さんにとっては登校初日となるんだけど、みんな顔が強ばっちゃってなんだか初々しいです。まぁ中にはそうでもなくて、お友達と楽しそうにお喋りをしている人もいるかな。  わたしも、去年はこんな感じで先輩達に見られてたのかな。と、そんなことを考えている少女が校舎内の芝の上で、足を伸ばし、手を後ろについて座っていると、 「優奈(ユウナ)ー!」  名前を呼ばれて、横を向くと、走ってわたしの方に向かってくる女の子が見えた。その子はわたしの前で息を切らしながら両手を合わせると、 「ごめんね、優奈。待った、よね?」 「ちょっとね。でも大丈夫だよ。明日香(アスカ)ちゃん」  まだ5分はあるから大丈夫だよ。  そう言って、わたし達はのんびりと歩きだした。  ああ、そういえば自己紹介がまだだったね。  わたしは朝霧優奈(アサギリユウナ)。この星秀中学校の2年生。それで今、わたしの隣にいる子が須藤明日香(スドウアスカ)ちゃん。わたしと同じ学年で1年生からのお友達なんだ。 「優奈、新しいクラスっていつ分かるんだっけ?」 「えっと、教室の前に張り出してあるって先生が言ってたかな」
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