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一晩戦い、へとへとになりながら警察署に帰ると速攻、監察官室に呼ばれた。
現在早朝。依然見た通り、机に似合う黒皮張りの椅子に座る獅子族のレオール監察官が座って待ちかまえていた。
「さて、分かっているだろう?」
右の瞳がギラリと輝く。
口を半開きにし、唸る様は猫族より恐ろしい。
「レオ。そう唸るな」
一晩の戦いの後、一睡も寝ていないダウルが眠そうに答える。心なしか毛が乱れ、疲れたように垂れている。
「唸りたくもなる。私は潜入しろと命じた筈なのに何故強行調査した? しかも、ダーク・キャッツには逃げられ、ホワイトにも逃げられたそうだな」
重い音をたて椅子に深々と座る。レオールも疲れているようだ。
「だが、未登録の武器の押収とそれを扱っていた研究者並びに作業員を捕まえられたのは大手柄だ。よって罰則なし」
ダウルの後ろに控えていた調査班全員は安堵の息をつく。
知らずに尻尾を振っているタマ、ヴァン、瑠璃の三匹は特に嬉しそうだった。
「安心するのは早いぞ。どうやら、あの研究所には大型の武器か何かがあったらしい。その痕跡はあったが、回収する前に何者かに持って行かれた…」
茶色の瞳がダウルに注がれ、後ろに控える部下へ向けられた。
翡翠は思い返す。あの時経験したあの武器、兵器のことを思い出した。あの武器は結局姿を見なかったが、今思い出してもゾッとする恐ろしい物だった。
「超音波カッターらしきもの。もしかしたら違うかも知れないし、今の段階では訳が分からない兵器と言うことだろう」
ダウルは静かにそう言った。
「調査班は引き続きダーク・キャッツを追ってくれ。以上」
「はっ!」
調査班全員がレオールに敬礼した。
†††
「すっごい疲れたにゃ~」
机に倒れ込むように上半身を投げ出し伸び伸びとと背筋を伸ばすと、タマは僅か一秒たらずで夢の世界へ旅立った。
「ぐごごぉ~。お嬢さん~」
その向かいではヴァンが爆睡して寝言まで言っている。
「もう。毛並みが最悪よ」
瑠璃がコンパクトの鏡で美容チェックし、その隣ではライトとラフィールがうつらうつらと頭が揺れる。一班で辛うじて起きているのは瑠璃の他にダウルと翡翠だけだ。
「捕まった連中にダーク・キャッツがいるかもしれん。昼にまた全員で行くぞ」
そう二匹の部下に言ってダウルはそのまま椅子の上で眠る。
翡翠も瑠璃もそれぞれ眠った。
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