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他の班の者達が寝ている一班を見て仕事の合間に陰口を叩いていた。
「おい、また一班がさぼってるぞ」
「お気楽連中だな」
そんな彼らが一班を尊敬の眼差しで見るの日が近いことをまだ知らない。
†††
翡翠は一生懸命逃げる。
「待て~! ホワイト待てぇ!」
「おほほほ」
笑って逃げるホワイトを一生懸命に追うが全く追いつける気配がない。そればかりか差がとんどん開いていく。
翡翠は歯がゆかった。どんどん小さくなっていく背中を見つめ全く追いつけない自分に腹が立つ。
「待てぇ~!」
ただがむしゃらに翡翠はホワイトを追いかけるしか出来ない。
「捕まえたぁ~!」
「フギャ!?」
見事ホワイトを羽交い締めにした翡翠は満足した。
「ギブ! ギブ!」
ホワイトが敗北を宣言しながら翡翠の腕を叩く。
「逃がさないんだからぁ」
更に力をこめて幸せそうに微笑む。
「…翡翠ちゃんて物騒にゃ」
「微笑みながらやるとは末恐ろしい娘だ」
「瑠璃が好きなんだね」
寝起きの一杯を飲んでいるタマ、ヴァン、ライトは離れた場所から翡翠と瑠璃を見ていた。
翡翠は何を思ってか瑠璃を羽交い締めしていた。瑠璃は悲鳴をあげ、翡翠は幸せそう。
「あ~。寝起きから威勢が良いな」
ダウルは新聞を広げて見ていたが、ラフィールに止めるように命じた。自分は高みの見物を決めこんだようだ。
「止めて下さい!」
「はにゃ?」
ようやく夢から覚めた翡翠は瑠璃を手放した。
瑠璃は涙目で翡翠をキッと睨むと瑠璃の怒りが三十分近く続く。
「翡翠君、瑠璃君、済んだか?」
すっかり事務モードに戻っているダウルは二匹の部下に確認する。
「えぇ。済みましたわ~」
毒と怒りを吐ききった瑠璃は輝(かがや)かんばかりの微笑みを浮かべた。
「すみません…」
落ちこんだ翡翠との対比は素晴らしい差だ。
「では、昨日行った研究所へ向かう。何か見つかるかも知れん。その後、別れてここへ行ってくれ」
人数分渡された紙には昨日の会に参加したお偉いさん方と一般の名前と住所。
「お偉いさん方の方を当たれ。恐らく支援した奴や関係者がいるかも知れん」
眼鏡をかけたダウルの不思議な視線が部下達を見つめる。
いったいいつこの資料を手に入れたのか分からない。流石、切れ者と言われただけはあると翡翠は見直す。
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