さよなら僕が愛した人

2/2
前へ
/2ページ
次へ
木の葉が舞い散り、割れた窓ガラスが僕を刺す。 荒れた庭にただひとり居るのは僕で、君はどこにも居ない。 傍には崩れた廃屋。 飛び交う無数の黒い鳥は自由な空に孤を描き、君を葬送する。 辺りには僕以外、いや、僕と君の思い出以外には何もなかった。 荒れた視界が、僕の奥で蠢く黒いものをいっそう突き動かしては淀んでいく。 重たい頭をあげ空を見上げた後、再びうなだれる。 ひとは哀しいものだと、思った。 いっそひとになんて絶望できれば良かったのに。 けれど愛した君も人間だった。ひどく優しい人間だった。 それが今でも、痛い。 受け取り手のないこの気持ちは、どうか、思い出と一緒に、流して。 僕の叫びはひとり哀しく響くだけ   さよならバイバイまた明日   最後にも一度、君に愛して欲しかった。   🚲🚲🚲🚲🚲🚲🚲🚲🚲🚲🚲image=47446445.jpg
/2ページ

最初のコメントを投稿しよう!

2人が本棚に入れています
本棚に追加