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ふいに幸宏はクククと喉を鳴らして笑い出した。
なんだよ……その気持ちの悪い笑い方は。そんなにおかしいかな?
「あ、いや悪い。大地の頭が悪くてお人好しなことを忘れていた」
「む~~。バカにするなよ」
「すまん、すまん」
むくれる僕に幸宏は鋭く睨みつけていた目を和らげて謝る。
「ふんだ。みんな開けるよ」
僕はダストボックスに向きを変えて蓋を持ち上げる。みんなが見つめるなか鍵がかかっていると思っていた蓋はすんなりと持ち上がった。
ダストボックスの中にはダンボール箱が二つあった。ネコの声はどうやらこの段ボールの中から聞こえてくるみたいだ。
僕はダストボックスからダンボール箱を取りだして幸宏に渡した。
もう一つの箱は自分で持つ。
「ひとまずあそこに連れて行こう」
幸宏はここから少し離れたところを顎(あご)で示した。
幸宏が示したところをみると屋根付きのバス停があった。
「わかった」
バス停に向かっていると僕のダンボールの中にいるであろうネコが動き始めた。
「頼むから暴れないでよ」
僕の声にネコはピタリと動きをやめる。
僕の声が分かったのかな?
……そんなわけ無いか。
バス停について備え付けているベンチに僕と幸宏はネコの入っているダンボール箱をおろした。
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