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まぁ二人が驚くのも無理はない。鋭い目つきの精悍な顔立ちでどうみても不良にしか見えない幸宏のその顔でネコに詳しかったらそりゃ驚くよね。
僕の場合は幸宏の夢が獣医師になることだってわかっているからこの二人みたいに驚かないけど。
何にせよあまり動物の知識のない僕たちにとっては大いに役立つ戦力だ。
「こっちの子猫たちはどうかな」
「みせてみろ」
幸宏はネコたちを観察したり、触ったり、持ち上げたりして調べだした。
「体重は平均より軽いな……む、くしゃみが少し出るな……震えている? ……気のせいか」
「で、どうなの?」
「動物病院連れていかないとなんとも言えないが……この尻尾の黒い白ネコはくしゃみをして少しだが熱いな。このネコ以外は至って健康だ」
そういいながら幸宏が持ち上げていた子猫を僕に渡した。
僕はおっかなびっくりながらもそっと受け取った。
フワフワして柔らかいなぁ。手のひらに乗った子猫の体温が僕の手のひらに伝わってくる。なんとなく熱い気がする。
「この子猫おとなしいね。あまり暴れないよ」
「そうか、このネコの性格が元からおとなしいからか、或(ある)いは病気になっているからかもしれないな」
「ちょっ、それってヤバいんじゃないの? 早く動物病院に連れて行かないと」
「まぁ、そうだろうな」
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