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「いや~~~~~~」
銀のさららで子猫の診察をして帰る途中に幸宏たちと別れて、キャリーバック(猫を入れるものらしい)の中に入れた子猫と一緒に自宅に帰ってきた僕の耳に母さんのかん高い叫び声が響き渡った。
「な、なに叫んでいるのさ! ビックリするじゃないか」
「だ、だ、大くん。その白い生き物はなに?」
玄関で出迎えてきた母さんは、すごい勢いで台所の部屋に走りだした。そして引き戸の隙間から顔を出した母さんはキャリーバックにいれている身体の真っ白な尻尾の黒い子猫を指差した。
「へ? この子のことかな? この子猫はさっき幸宏たちと帰ってくる途中に見つけて拾ってきたんだ」
「どうして拾ってきたのっ」
「どうしてって捨てられていたから」
「元の場所に戻してきなさい」
母さんは震える指と震える声で命令する。
普段おっとりとしている母さんが僕に命令する姿を見るなんて初めてみた。
「元の場所って……」
この怖がりようはなんだろうか? ははぁコレは、
「まさか、母さん。ネコ嫌いだったの?」
「猫だけじゃないわ。動物全般が嫌いなのよ」
「へ~~、母さんが動物嫌いなんて初めて聞いたよ」
「そんなことはどうでもいいから早く捨ててきなさい」
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