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「ハァハァ……昔は陸上部に入っていたからかなぁ?」
荒い呼吸でもたれたままの母さんは答えた。
「そうなんだ……ていうかいつの頃の話だよ」
「高校の時だけど」
「じゃあ、陸上部とか関係ないじゃないか」
思わずツッコンでしまう。逃げ足の速さを二十年前の陸上部に入ってたことで言われても。
「まあいいや、部屋に戻るけど……今日の夕御飯はなにかな」
子猫を抱き上げて立ち上がりながら母さんに聞いてみた。
「ん~~、走り疲れたからカップラーメンを作ろうと思っているけど」
母さんはふくらはぎを揉みほぐしながら答えた。
そりゃそうだ。母さんが昔に陸上部で走り方を覚えていたとしても、僕が産まれてから一度も走っているのを見たことないのに一時間も走ったら疲れて当然だよね。
「ふ~ん。わかったよ」
そう答えて二階にある僕の部屋に行くことにした。
「あ、そうそう。大ちゃん、わかっていると思うけど……その子猫は飼うんじゃないわよ。飼い主が見つかるまで預かるだけだからね」
歩き出した僕の背中に声をかけられた。
「わかっているよ」
背中越しに返事をかえす。
そして、玄関に置いている幸宏がさららさんと交渉して(僕の目には脅迫しているように見えたけど)タダ同然に貰ったキャリーバックのところに戻り子猫を入れて二階に上がった。
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