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「これでよし。次の家に向かうからな。猫の世話のやり方はメモに書いてあるからそれを見てくれ」
「わかった」
幸宏の持っていたケース(猫用トイレだったらしい)の設置作業はものの一分で終わり、銀のさららでレクチャーされた猫の世話の仕方を幸宏の口から聞かされて終わった。
設置作業と合わせても五分ぐらいの時間だった。
「じゃあな」
「うん。ありがとう」
お礼を言うと幸宏は手を挙げて部屋から出ていった。
部屋からいまだに止まない雨の降る窓の外を見ると、可愛く描かれている10匹ぐらいの動物が仲良く銀の皿でエサを食べている様子の車が視界に入った。
銀のさららってかいているって事はさららさんの病院の車かな?
幸宏が助手席に乗るのが見えた。
幸宏に悪いことしたなぁ……僕が子猫の世話をするっていったのに持ってきた道具の代金をかわりに払ってくれてたし。
獣医師を目指している幸宏の事だから動物と直に触れ合えるから代金のことは気にするなと言いそうだから敢えて言わなかったけど……やっぱ払った方がよかったのかな。
そんなことを考えていると足下から柔らかい感触を感じた。
下を見るとキャリーバックに入れていた子猫が抜けだして甘えるようにスリスリと頬ずりをしている。
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