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視線を落として子猫を見るとにゃおんと一つ鳴いた。
僕には気にしないでいいと思うよといっているように聞こえた。
しゃがんで子猫の首筋を撫でると気持ちがいいのか深い海のような青色の目を細めてごろごろと喉を鳴らした。
「よしよし。お前は人懐っこいな。なんて名前にしようかな?」
「にゃ?」
僕の呟く声に子猫は返事をするように小首を傾げて鳴いた。
「僕の言葉がわかるのか」
「にゃん」
元気よく返事を返された。
「…そんな訳ないか」
偶然鳴いたって可能性もあるしね…そんな事よりも幸広が置いていったメモを見るか。
僕は考えをやめてしゃがんでいた腰を上げた。机に近付いて幸宏が置いていったピンク色の紙に青色の文字で子猫の世話と書かれているメモを読んでみることにする。
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