子猫の世話

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家の中を探索したいのかな? でも、いま下に向かったら母さんが叫び出しそうだからなぁ…ま、僕がついて行けばいいか。 僕はドアノブに近づきドアを開いた。 頭だけを廊下にだした子猫はキョロキョロと首を左右に動かして危険がないかを確認しだす。 「ははは、この家には危険なとこはないよ」 子猫は耳をぴくぴく動かして僕の方向を振り向く。 「にゃ」 僕の声に返事を返して、ソロソロと前足と後ろ足を一歩づつ前にだして歩きだした。 「にゃん」 子猫はもう一度振り返って、急に部屋から飛び出すように走りだした。 「ちょっ」 いきなり走りだした子猫を追いかけるように部屋から出ると子猫が階段を降りるところが視界に映った。 「大く~ん、お湯が沸いたわよ。降りてきなさい」 子猫の姿が階段から消えたと同時に母さんの呼ぶ声が聞こえた。 ヤバいヤバいヤバい。 このままいくと母さんと子猫がはちあわせして非常にまずいことになるかもと焦っていたときには手遅れだった。母さんの宇宙まで届きそうな叫び声が家の中に響き渡っていた。 叫び声で意識が飛びそうになったのは生まれて初めて味わったよ。 某猫型ロボットの漫画にでてくるガキ大将の歌声はきっとこのぐらいの声だな。 子猫は耳を塞いでガタガタ震えているし。 猫の聴覚は人の耳よりもいいと思うから至近距離で母さんの叫び声を喰らわせないように気をつけないとね。 …あ、母さんも泡を吹いて気絶しているよ。 「どれだけの音量だよ」 思わず呆れてしまった。
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