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部室に向かっていると部室の前で喋っている二人の少女が視界に映った。
陸上部の後輩、双葉優奈と僕と同じクラスで陸上部のマネージャーをしている蒼霧なぎさだ。
「ふたりとも部室の前で何してるのさ。入らないの?」
「あっ朝賀先輩。実は今日の部活は休みみたいですよぅ」
僕の声に気づいた優奈ちゃんは間延びした声をしてトテトテと小走りで僕に近付いてきた。
フワフワとした腰まである髪に幼さの残る人懐っこい笑顔。
陸上部に入って太陽に当たっているとは思えない透き通りそうな白い肌。スカートからのぞく足も白くて、まるで陶器のようだ。
「どうして?朝のミーティングの時にはなにも言ってなかったよね」
「なんでも小西先生に用事ができたかららしいですぅ」
「なにそれ…何かの用事があるならミーティングの時にでも言えばよかったのに」
「そうですよねぇ~~」
優奈ちゃんは胸の前で腕を組んでうんうんとうなずく。
「ちょっと二人ともなにを言っているのよ。朝のミーティングでの小西先生の話、ちゃんと聞いてなかったの?」
ため息混じりのあきれた声で近付いてくるなぎさに視界を移す。
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