思い出

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時期が過ぎていた為、花を見る事は出来なかったが、外灯に照らされた緑の葉が鮮やかだった。   老婆は桜に向かい歩き出していた。 幼い頃の思い出でも蘇っているのだろう。 目を細め懐かしそうに、ゆっくりと桜に触れた。 優しく木の幹を擦ると、持ってきたバッグからスコップを取出し、木の根元の土を掘り出した。 そして、土を堀りながらわしに、   「ただ闇雲に掘っている訳じゃないのよ」 「目印があるの」   そう言うと、桜の木の根を指差し、   「此処に木の根っこが盛り上がっている所があるでしょ」   見ると、人間の拳程の石が挟まっている。   「きっと、木が成長する時に巻き込まれてしまったのね」 「子供の頃は、この石を目印にして、お互いの宝物を隠していたの」  
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