思い出

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すると、   『カッ』   と、金属のぶつかる音がした。 急いで土を掻き分け、それを取り出す。   取り出されたそれは、金属らしく土の汚れと錆びでボロボロになった小さな箱だった。   震える手で箱を開ける。   長い年月、土に埋められひどく錆びていた割に、蓋はすんなりと開いた。 中には、当時の子供の遊び道具[おはじき、べーごま、めんこ]等が入っていた。 懐かしそうにそれらを手に取ると、昔を思い出していたのだろう。 一つ一つをいとおしそうに眺めていた。   もう一度箱に眼を向けると、おそらく侵入してきた雨水にやられたのだろう、半分朽ちた様な小さな巾着が隅っこにあった。 巾着を開けると銀製の指輪だったのか、真っ黒に汚れた指輪らしき物と、小さく折り畳まれた手紙が入っていた。
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