思い出

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侵入していた雨水と錆びで所々汚れてはいたが、文章部分は奇跡的に無事だった。 その手紙にはこう綴られておった。   『突然の告白に驚かれていると事と思います。思えば、子供の頃から何時も一緒でしたね。二人は兄と妹の様に育ち、私自身もその様に思っていました。何時までも、この子は自分が守るんだと。しかし、ある時私は気付いてしまいました。自分の本当の気持ちというものに。美しく成長する貴女を見る度に、自分の中の想いは強くなり、自分はこの人を愛しているのだと。訓練は辛く厳しいものでしたが、帰ってくる度に一番に駆け寄ってきてくれる、貴女の優しい笑顔に癒されました。叶う事ならばこれからもずっと、貴女の傍でその笑顔を見続けさせてほしい。もし想いが叶わなくても指輪は、思い出として貴女に持っていてほしい。良い返事を待っています。』   手紙にはそう綴られていた。
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