思い出

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『けれども、あの戦後の混乱の中、必死で君を探したんだが結局見付ける事は出来なかった…』   『おびただしい亡骸を見て、助からなかったんだと諦めたんだ』 『それからの私は、君を忘れようと仕事に打ち込んだんだ』   『おかげで、勤め先の社長に認められてね』 『社長の娘と結婚し、子供にも恵まれ孫も出来た』 『幸せな人生だった…』   『けれども、死期が近付くにつれ昔の記憶が蘇ってきて、あの時君の傍に居てあげられなかった事を後悔したんだ』 『だけども、去年の今頃お迎えが来てしまってね』 『一言…、一言だけでも謝りたくってね…』   老婆は首を振り、   「いいえ、私の方こそあの時、直ぐにでもあなたの想いに応えていれば」   そう言うと、その場に泣き崩れた…。  
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