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あれは、馴染みの中華料理屋に晩飯をいただきに行こうとしてた時じゃった。 晩飯と言っても、客が残した食べ残しや、時間が経って少しばかり水分が飛んでしまった様な、客に出せなくなった商品、言わば[残飯]じゃな。 まぁ、人間が贅沢な捨て方をしてくれるお陰で、わしは毎晩の様に、タダで高級ディナーに有り付けてるんじゃが。 ディナーをいただくのは、何時も裏口でと決まっておった。   その日も、食事をご馳走になるため、何時もの裏口を目指して歩っておった。 ただ、何時もと違っていたのは、普段は通らない路地を通っていた事じゃ。   「あ~、失敗した」 「何時もの道にしておくんじゃった」 「空~気が重い!」 「こ~ゆ~とこには、決まっておるんじゃよな~、自縛霊」   面倒な事にならなきゃいいが、と思いながら歩っていると、4、5メートル先の壁ぎわに立つ細身の人影があった。
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