繁華街と猫

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ネオン煌めく街、此処は繁華街。 わしはそこで暮らす一匹の猫。   猫と言っても、普通じゃ~ないが。 何が普通じゃないのかって? そりゃー、わしが妖怪[猫又]だからじゃ。 何がスゴいかって? そりゃー、人間の言葉を理解出来るし、うんと長生きも出来るんじゃ。 まぁ、他にも色々じゃ。 長い年月を経た物なんかに、命が宿る九十九神と同じ様なもんじゃな。 長い時間を経て、特別な力を授かったモノノケと呼ばれる者じゃ。 有名どころじゃと、唐笠、提灯お化けなんかがおるの~。 動物では、九尾の狐、番町皿屋敷の化け猫なんかが有名じゃの~。   まぁ、簡単に言うと猫又っちゅーのは、仙人の猫版みたいなもんかの~。   人間の言葉を理解して、愛想良くしておれば食べ物には困らんし、この街ではこの能力は役に立ってくれちょる。 食べ物には事欠く事の無いこの街は、様々な人間ドラマにも溢れておる。 それは、猫又であるわしが呼び寄せてしまうのか、この街が持つ独特な空気のせいなのかは分からんが…   長年、過ごしてきたこの街での出来事でも話してみようかの~。 あぁ、そうそう、自己紹介が遅れておったの~。 わしは[マタさん]。   何ぃ!? ありふれた名前じゃと! 別に名前なんぞ何でもいいんじゃ。 何時の頃からか、そう呼ばれておった名前じゃ。   ともかく、猫又の[マタさん]じゃ。 宜しくの~。
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