思い出

5/15
前へ
/32ページ
次へ
「それで、その話を受けようって決めたの」 「お陰で気付いた時には明るくなっていたわ」 「その事を、両親に話す為に台所に行ったの」 「嬉しい様な、恥ずかしい様な、不思議な感じだったわ」   「私が声を掛けるのよりも早く、振り向いた母から朝一番でお兄ちゃんに召集が掛かったのを知ったのは…」   「天国から地獄ってああいうのを言うのかしらね」 「突然、目の前が真っ暗になった気がしたわ」 「私はひたすらお兄ちゃんの無事を祈ったわ」 「お願いだから無事に帰ってきてって…」   「だけど、お昼を過ぎた頃からここら一帯も危険になってしまって、避難しなくてはならなくなってしまったの」 「私は指輪を取りに行こうとしたんだけど、あの状況ではそれも無理だったわ…」   「その後戦争を避けて、疎開先に移り住んだの」
/32ページ

最初のコメントを投稿しよう!

54人が本棚に入れています
本棚に追加