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「それからしばらく経った頃だったわ、風の噂でお兄ちゃんが戦死したらしいって事を知ったのは」
「あの時は本当にショックだったわ…」
「その後私は結婚して、家族にも恵まれ、悲しい思い出が残ったこの地を訪れる事は無かったわ…」
そう言うと眼を閉じ、うっすらと涙を滲ませておった…。
「でもね、年を取ると不思議なもので、昔の思い出ばかりが甦るの」
「記憶の片隅に封印していたはずの悲しい思い出までもね…」
「形見になってしまった指輪をご遺族に渡してあげたいと思ってね」
「取りにこようと、何度も思ったんだけれど、この地を訪れる勇気が湧かなくてね…」
「気が付いた時には、こんなお婆ちゃんになってたの」
「自分も、もう老い先が無いって思って、ようやく決心が着いたの」
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