思い出

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「それで今日…」   「何十年も経ってしまったんだけれど、やっとこの街にこれたの…」   そこまで話すと、わしの方を向き淋しげな微笑みを浮かべた。   「ふふふっ、ご免なさいね、年寄りの昔話に付き合わせちゃって」   「それにしてもあなた、不思議なコね、私の言葉を理解しているみたい」 「それに、何十年来のお友達と話している様な気分だったわ」 「お話し聞いてくれて有り難うね、猫ちゃん」   わしに礼を言うと、   「よいしょっ」   と、立ち上がり、   「すっかり話し過ぎちゃったわね」 「そろそろ行ってみるわ」 「猫ちゃんも元気でね」   そう言うと、神社に向かって歩き出した。  
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