出会いはあの桜で

2/8
3人が本棚に入れています
本棚に追加
/13ページ
ジリリリリン。 ジリリリリン。 時計の目覚ましが脳内に響く。 微睡みのなか必死に時計を探して、時計のボタンを押す。 「ふぁ~……」 太陽の暖かな陽射しを直に受け、大きく背を伸ばし、アクビをする。 私、雪見 桜〔ゆきみ さくら〕は爽快な朝を迎えた。 コンコン。 二度のノックの後に、茶髪で肩の辺りで切り揃えてある髪の毛とパッチリとした真ん丸い眼が大人の女性なのに少女を連想させるこの人は、看護師の向日 葵〔むかひ あおい〕。 みんなからは名前をくっ付けてひまわりと呼ばれている。 私はひまわりこと、この女性をマワリちゃんと呼んでいる。 「はい、桜ちゃん体温計で測るからこれを脇に挿してね」 マワリちゃんは下に赤い液体が溜まっていて、熱があると赤い液体が上昇していく。 そして、そこのメモリに書いてある数字で何度か分かるようになっている。 その体温計を私は自分の脇に挟む。
/13ページ

最初のコメントを投稿しよう!