出会いはあの桜で

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「早いものね……桜ちゃんがここに入院してから10年……」 不意にマワリちゃんが昔を懐かしむように言う。 そう、私はここ、朔羅病院に10年前から入院している。 入院している原因は病気。 原因不明の病気。 「そういえば、目覚ましって使って大丈夫なの?」 ここの病室に私以外居ないとはいえ、流石にこんなに音が大きければ隣にも迷惑かけるだろう。 「大丈夫よ。ここは防音だから!」 「あはは……」 問題はそこではない気がするのだが、あえてスルーの方向で。 じゃないと苦笑することが出来ない私にとっては辛い。 「うん!もういいかな?」 私にさっき挟んだ体温計を手で渡すように催促をする。 そのまま催促に従って脇に挟んだ体温計をマワリちゃんに渡す。
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