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「あ、あのー……」
男の人の後ろから声をかける。でも、気付かなかったみたいだ。
もう少し、大きな声で話しかけてみる。
それでも、友達を見るのに集中してるのか、全然気が付く様子が無い。
僕は思い切って、男の人の視界を塞ぐように、前に出て声をかけた。
「すいません!!」
やっと、男の人の焦点が、僕に合う。
すると、
「うわああああああああ!!!」
突然叫んで後ずさったかと思うと、そこで尻餅をついたんだ。
僕は、何が何だか判らない。その場で、ただ呆然と立ってた。
すると、男の人を包んでいた黒い影が、ほんの少し揺らいだ。
『カナメ、もう良いですよ』
猫又先生の声がしたかと思うと、男の人の後ろに黒い影が走るのが見える。
そちらに目を凝らすと、猫又先生が、男の人の影を食べてたんだ。
……多分あれは、猫又先生だと思う。その姿は猫というよりも、人間に近いものになってたけれど。
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