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誰も猫又先生には気付いて無いみたいだ。 口々に、突然、男の人が叫び出した、とかそんな事を言ってる。 そして、その男の人は、警察の人に抱えられるようにして、パトカーに乗っている。 僕は、それを見送ってから、猫又先生の方へ駆け出した。 『カナメ』 何も無かったかのように家に帰ると、玄関の前で猫又先生が振り返った。 「なぁに?」 『そろそろ思い出しなさい』 「何を?」 僕は意味が判らない。 何を思い出さなきゃいけないんだろう? すると、猫又先生の金色の瞳が、キラリと光った。 僕は、その瞳をじっと見る。 そして、僕の記憶は、あの日に還って行った。
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