猫又先生

猫

僕は四人家族。

普通の会社に勤めているお父さんと、家の掃除をしたりご飯を作ってくれるお母さん。
それと妹。

こいつは来年、僕と同じ小学生になるんだ。
少し前まで、『お兄ちゃん、お兄ちゃん』って後ろをついてきてたくせに、最近、生意気な事ばっかり言うからむかつくよ。しかも、口喧嘩では僕が負けるから、つい叩いちゃって、結局僕が怒られるんだ……。
ホントにむかつくよね。

クロを拾ったこの日は、いつも家に居る筈のお母さんが居なくて、鍵がかかってたんだ。
もしかしたら、水曜日だって事を忘れてたのかも知れない。

泣きはしなかったよ。
僕、もう三年生だもんね。
クロと一緒に玄関の前に座って、お母さんを待ってたんだよ。

お母さんはすぐに帰ってきた。でも忙しそうだった。

まあ、いいや。

僕は、お母さんに気付かれずに、クロを家に入れる事に成功したんだ。

それから一週間。
まだクロを飼っている事には気付かれていない。

あ、またクロに睨まれたよ。
うん、飼ってるってのとは違うよね。
クロは好き勝手に、僕の家に出入りしているだけだもん。

ただ、僕の下校時間に、あの空き地までは必ず迎えに来てくれるんだ。

そうだね、僕たち友達だよね。